【微忙録】

明日の自分への覚え書き

趣味と擬態と

私は基本的に世間一般で定義されているところのキモオタであるので、楽しみと言えばアニメマンガゲームの二次元コンテンツである。​

そんな私は日々、人から疎んじられるのを恐れながら生活をしているため、まず自分がキモオタであることを他人に明かすことはない。その方が円滑に社会生活を送ることができると学生時代に学んだからである。

個人的な見解だが、オタクという人種は趣味が嫌われるというよりは、特有の​

「訊いてもいないことを長々と説明する」​

「清潔感がない、くさい」​

「口調、雰囲気」​

等の要素が絡まって負のイメージを与えてしまい、結果的に関わりたくない人間だと判定されてしまうことが多いように思う。人間の印象は第一印象が非常に多くを占めるため、一度オタクレッテルを貼った場合、人格に関わらず敬遠する人は多いと思うし、仕方のないことだとも思う。なので自分から軽々しくオタクですアニメ見ますゲームしますと名乗り出る必要はないのだ。昔よりは幾分和らいだかもしれないが、一部の人たちが思っているほど世間はオタクに対して市民権を与えてはいない。調子に乗るから更に疎んじられるのだ。​
私のような者がこういった世の中を渡り歩くにおいて、カモフラージュの趣味を持つことは非常に重要な処世術の一つであるように思える。
私の場合であれば美術館巡り、散歩、映画、入浴である。
実に真人間らしいが、真実である。

①美術館巡り
実際東京に越してきてからよく行くようになった。建物も洒落たものが多いし、聞いたことのないアーティストでも、作品が並んでいるのを見ると大抵楽しいものだ。直近だとFGO葛飾北斎が実装されたため北斎展に行ったのだが、FGOの下りを話さなければ問題はない。私が興味を持っていたのは北斎と浮世絵ではなく、Fate黒星紅白先生とゆかなさんなのだが、一般ピープルにそんな言語は通じないので、答えは沈黙。

②散歩​美術館に行く際に徒歩で行けば、立派に散歩をしたことになる。「スニーカーを買ったから」と付け加えれば靴好きの人が食いついてくるかもしれないし、何となく健康にも気を遣っていそうで好意的に見る人もいるだろう。現実はすることもないしお金もかからないし、苦にもならないので歩いているだけなのだが、沈黙は美徳。多くを語る必要もなく、相手は意外と都合のいいように解釈してくれるものなのだ。ただ、6時間くらい歩いたと言った時は度が過ぎていたようで、奇異の眼差しを向けられたということを付け加えておく。私は6時間くらいなら徒歩圏内であると思っていたのだが、ここはやはりキモオタ、浮世に目を向けていない証左である

③映画
美術館に寄った帰りには映画を見ると良い。なにしろ映画館などいくらでもあるため、適当に調べれば帰り道に映画館の一つや二つは容易に見つかる。ただ、同じ映画を何度も観たり、一日に何本も連続して映画を見たとしてもそれは口にするべきでない。これもまた奇異の眼差し案件となってしまう。一日に三本見たのなら、それぞれ別の日に見た設定にするべきである。そうすれば、かなりの映画好きとして、趣味人の称号は恣だ。ちなみに私はスターウォーズEP8とガルパン最終章1話を観るセットを今のところ3回こなしている。思い返してみれば、EP7公開時もガルパン劇場版とセットで何度か観ていたし、君の名は。聲の形とともに3度ほど観た記憶がある。完全におかしな奴であるし、できれば関わり合いたくもないものである。

スーパー銭湯
映画を見たら最後にはスーパー銭湯に行けば完璧である。歩いて疲労が溜まった体を湯船につかってリフレッシュ。一人暮らしではなかなか広い湯船にゆっくり浸かるという機会もないため、定期的に銭湯に行くのをおすすめする。入浴代にしては少々割高な感は否めないが、近頃は非常に広い大浴場に加え、館内着で寝そべることのできるフリースペースも併設されていたりするので、滞在時間によってはかなりのコスパを誇るところもある。これで風呂好き銭湯好き温泉好きとでも言っておけば、清潔感を暗にアピールできる。パーフェクトプランである。

以上の①から④までを一日で行えば、かなりの物量を経験したことになる。非オタクの方々に「週末何してたの?」と訊かれても、これらを分割して小出しにしていけば、しばらくは保つはずだ。まさか相手も一日でこれらを全て体験しているとは思うまい。世に隠れ忍ぶオタク諸兄は、ひと月に一度でも良いので、こういったことに休日を一日費やしてみるのも一考の価値があるのではないだろうか。

 

だましのテクニックの進化 ―昆虫の擬態の不思議―

だましのテクニックの進化 ―昆虫の擬態の不思議―